投稿企画アンスール

このコーナーは、毎年テーマを決めて「Saga&Edda Association」 に来られた方々からの投稿を募集し、いただいた原稿を掲載していく企画室です。 投稿企画は、優劣を競うものではありません。会員の方に限らず、どなたでもお気軽 にご参加いただけます。


【募集要項】

  第2回 投稿企画 テーマ「私の愛したサブカルチャー」

     募集期間 2006年10月1日(土) 〜 2007年8月31日(金)

           掲載開始 2006年9月24日(月) 〜


【投稿された原稿】

●Drop me on Asgard

 はいこんにちは山森と申します。日々是好日。暖冬で縁側でのお茶がおいしいです。

 とはいえそう言う日々の繰り返しにも飽きてしまって、異性にかっこつけようという思惑も手伝ってうっかりアスガルドに行っちゃった人がいます。いえハロルド・シェイとおっしゃる心理学者さんなんですが。友人提唱の疑似物理学を応用した三段論法的転送機で。

 はいはいかなり無茶な設定ですよ。いいんです。ユーモア・ファンタジイですから。それでアスガルドに赴いたハロルド。銃やマッチなど文明の利器を駆使して冒険しようと思っていました。
 しかし、もともと目指していたのはアスガルドでなくトゥアハ・デ・ダナーンの土地、緑の島アイルランドでした。それ用の薄着で落ちた先が極寒のアスガルド、最初に出会ったのは鴉を連れ、帽子を目深に被った老人。彼に連られ向かった先にいたチアルフによると「運命の時」が近づいているという。うっかりと「魔法使い」と称してしまったけれども、別世界であり、原因と結果の因果律が機能しないアスガルドで自分の世界の道具は役に立ちません。<赤鬚>や<神々の見張り人>ら癖者ぞろいの世界で、現代心理学者ハロルド・シェイはどう生き延びるのか。

 北欧神話側の登場人物の性格がいまひとつはっきりしませんし、なにぶん1940年代の作品ですので古くささは否めません。ですが端々に引用されている「オーディンの箴言」、巨人族の描写、無茶な三段論法などを楽しみながらのんびりと読める作品です。「運命の時」「フィンブルの冬」とはほど遠い気候のこの冬、好みの飲み物と御一緒にどうぞ。

「神々の角笛」ディ・キャンプ&プラット 早川書房

 ・・・誰だ私がコナンかエルリックやると思ってた奴はー!(探偵や錬金術師ではありません。念のため)

−Posted by : 山森 衛さん



●占いとルーン文字との奇妙な縁

 読者の皆様、お初にお目に掛かります。滑り込みの初投稿にて失礼致します。私はネット上にて『無料占い』の看板を掲げているネット限定の『閑古鳥占い師』です。今回は御題に沿って『占い』と言うサブカルチャーによるルーン文字との奇妙な縁について独断と偏見から一席ぶちたいと存じます。

 私が『ルーン文字』と出会ったのは高専時代の事です。たまたま出掛けたデパートのアクセサリーコーナーでルーン文字をあしらったペンダントを見付け、此方の投稿企画と同じ『アンスール』の文字を学業成就の御守り代わりに購入したのが最初でした。…実は最後まで『ティワズ』とどちらを選ぶか真剣に悩みましたが、結局『知識』を象徴する文字を選んだ事で私自身のその後の人生も紆余曲折を経て研究者・技術者のコースを辿る事となりました。

 また丁度同じ頃、ル=グゥインの『ゲド戦記』に代表されるハイ・ファンタジーにハマり、ド素人の横好きで拙いファンタジー小説なぞを書いては内輪のサークルに出していた(…そしてデスクに突っ返されていた^^;)事もあり『神秘的な魔法の文字』である『ルーン文字』には参考資料としての興味からスタートして段々と北欧神話の世界へと傾倒して参りました。特に『一つの文字が一つの運命をも支配する』と言う独特の世界観と我が国の『言霊信仰』(言葉や文字に霊力が宿ると言うアレです)との共通点について、その当時、民族や時代の壁を超えた符合の様な何かしら不可思議な衝撃を覚えた事を記憶しております。

 その後、縁あってと或る方のお手伝いにボランティアで見習い占い師となり、その方からルーン占術の手ほどきを受けて独立し現在に至るわけですが、人生の節目節目に関わって来た『ルーン文字』との縁をこれからも大事にして行きたいと存じます。

 悪文乱筆にてオソマツ。

−Posted by : 樹音さん



●ボクの知ってる北欧サブカルチャー

さぶかるちゃー! でかるちゃー!
とりあえずボクの知ってるものを1980年代〜現在2000年代までなぞってみました。

(1)まずはヴァイキング−1980年代前半
一番最初にすりこまれた北欧伝承の世界それは…
アニメ「小さなバイキング ビッケ」!
ビッケ、ビッケ、ビッケは海の子バイキング♪ ビッケはゆかいなとんちのバイキングぅ!
氷の海もなんのその、グリーンランドへお散歩だ〜♪

力のない子供だけど知恵で活躍。当時子供だったのでよけい痛快ですよね。

そして「大空魔竜ガイキング」バイキングとガイコツをたして「ガイキング」
地球の平和をまもるロボットとしてはデザインもネーミングも異色!
これはだいぶ薄いな…。しかし、なんと2006年に再アニメ化!
「ダイの大冒険」の三条陸氏のせいか、熱血物語に…「心の炎を燃やすんだ!」
む〜、脱線しまくり。

バイキング=海賊という誤イメージは普通に作られましたが
まぁ、幼児が民族学、歴史学的に正確に知ろうというのは無理でしょう!


(2)そして北欧神話−1980年代後半
小学生から中学生へ。SFやファンタジーが好きな少年は、そんな小説やゲーム、アニメなど
サブカルチャー漬けでした^^

さて、北欧神話ですが…たぶん「女神転生」ですね。神話としてまともに接触したのは。
ロキ、オーディン、トール、フェンリルなどでてきました。

あとは…ファイナルファンタジー。2から「ラグナロク」って剣がでてきたかな?
間違えてますよね〜
3の召喚魔法で馬にのった騎士姿の「オーディン」そしてその攻撃が「斬鉄剣」!
今だからこそ「なんでやねん!」ですが…

「聖闘士星矢」のアスガルド編はみてないんですよ。原作派のボクにはオリジナル設定はイマイチだったのです…今となってはちょっと見てみてもいいかなぁ、と思いますが。


高校生ぐらいから少しギリシャ神話辞典とか調べるようになったかな?
あとはHippon SUPER(ファミコン必勝本、という雑誌がこの頃はこんな名前に)という雑誌で
「神話世界の旅人たち」という連載をやっていたのです。
これは本を持ってる人がいるのでは? これで北欧神話の知識も少々…たしか…

あとはRPG系の資料本で「クロちゃんのRPG見聞録」とか「〜のRPG千夜一夜」とか
エッセイ風の本があって、ジークフリートの伝説とかを「ヴォルスンガ・サガ」として
ちゃんと紹介してましたね。

この辺から、「こりゃ、元の本を読まなきゃ」と思うようになったのです。
ゲームの資料じゃホントのイメージがわからない、と。

あと、戦う乙女のイメージの「ワルキューレの伝説/冒険」(ナムコのゲーム)や
ソードワールドRPGの戦乙女の精霊バルキリーが北欧神話起源だったことが…わかったかな?
もうすこし後かな?

マクロスの航空機型可変ロボのバトロイドが「バルキリー」なのがこの戦乙女?!と同名だというのは
今でもなぜ?ですが…

(3)そしてエッダを読みながら−1990年代前半
大学生時代ともなるとアルバイトのおかげで資料を買う資金はばっちり!
古本屋で神話資料をあさる日々がはじまったのです!
結構最初に買った方です「エッダ」は。「原典を読もう」路線だったので。
この頃の作品だと

「あぁ女神さまっ」
北欧神話テイストで女神だのユグドラシルだのミッドガルドの大蛇だの、今までのに比べれば、まとも…

「銀河英雄伝説」
帝国軍側がドイツ・ゲルマン風なんですよね。
戦死覚悟の将官が「ヴァルハラでまみえましょう」とか、戦闘機が「ワルキューレ」とか、
イゼルローン要塞の主砲が「トールハンマー」(荷電粒子砲?)でしたねぇw


さて、ボクは世界中の神話を相手にしていたので、いろんな神話本やなんやらを読みまくり…
あとは特に北欧って意識は少なかったかなぁ。

やっぱりフェンリルなんかはイメージ強かったかなぁ。
「GS美神極楽大作戦」にもでてきましたw

はっきりいってゲームはスーパーロボット大戦くらいしかやるヒマなかったので
(どんなヒマ?)RPGでモンスターや武器がどうなってたか…知らんです^^;
でもゲーム業界志望だったのですが…

だから就活で使ったゲーム企画書で勇者を支援する「守護天使」とか「守護聖獣」に
ヴァルキューレやフェンリルがいた…スレイプニルもw
当時の恥ずかしい絵

http://page.freett.com/aibara/rakugaki5.html
http://page.freett.com/aibara/rakugaki6.html

この頃は自分のアイデアのイメージをふくらませるための資料なんですよね、神話は。


(4)ゲーム会社に勤めたり、神話辞典サイトをはじめたり −1990年代後半〜現在
さて、念願のゲーム会社で制作に携わりながら、98年の2月から神話辞典サイトオープン!

この頃から「文化」としての神話が面白くなってきたのです。
まずは辞典系の本をあさりましたかね。あと世界の神話総解説系の本。

サブカルチャーとしては…北欧に特化したのってあったかなぁ?
ちょこっとひっぱってきただけ、ってカンジが多い?

「スーパーロボット大戦シリーズ」結構、神話ネーミングは使うんですけど。
新スーパーでは異星人の母艦が「ヘルモーズ」
α外伝では敵ボス級ロボにベルゲルミルとか、スレードゲルミル(斬鑑刀がステキ!)とか。

「BASTARD!!」
で4大天使の一人、ウリエルの最大武器が「グングニル」
ミカエルの武器が「レーヴァテイン」(レーヴァテインはじめて知った^^;)
だいぶ前のシーンで、カル・スがスレイプニル風の空駆ける馬に乗ってたとか…

「ヴィンランド・サガ」これいいよ! リアルヴァイキングもの?! プラネテスの作者だし。

以下はあまり知らん!(なら書くな〜)

「ラグナロクオンライン」は戦うからラグナロク?!知らないけど〜

「魔探偵ロキ」これはすさまじい解釈だったと思うわけですが…
美少年がロキで、美青年がミドガルズオルム。そして少年のロキを「お父さん」と呼ぶ。うーむ。

「ヴァルキリープロファイル」はまだいい方じゃない?
年の離れた弟がやってるのを脇でみてただけ。「死の、先をいく者達よ」と戦闘のたびにしゃべってたなぁ。

「神to戦国生徒会」あかほりさとる氏原作のコミック。
これも結構すさまじい。オーディンが美女だったりして。

「リリカルなのはA」だっけ? 敵の剣でレヴァンティンとか。でもガリアンソード風になってたなぁ…

「デジモンセイバーズ」イグドラシル、とかでてきてたよ。そんだけ…


あとは音楽、BUMP OF CHICKENは北欧好きなのかなぁ「グングニル」って曲とかあったり。
アルバム名に「ユグドラシル」とかね。

と、まぁそーゆーわけで「ワルキューレ」とか世界樹「ユグドラシル」とかラグナロクとか
部分的に使われることが多いんじゃねすかね〜。

ボクも、かるく読み流す、観流すことが多いので、あんまり「愛した」ものじゃないなぁ…
あぁ、でも基本的に名前あげたのは、アニメとか作品としては良くできてるなってモノですよw

そんなワケであんまし「愛した」じゃないけど…サブカルチャーと北欧神話の接点をさぐってみますた。
駄文で、420(し・とぅ・れい)しました〜

−Posted by : aibaraさん



●娯楽産業と文化のはざまで

 自分は子供の時から北欧神話がお気に入りでした。下手ながら漫画を描くようになると、北欧の神々を登場人物にしてノートに描き始めました。
 ところが絵は上手くならないし飽きっぽいしで、何度もその漫画らしきものを途中で放棄し、再び描き直し、そして放り出すのを繰り返していました。それでもどうにか完成させることができた。
 その直後でした。少年少女向けのある人気漫画をアニメ化した映画が公開されましたが、北欧神話がその映画の重要なモチーフにされていました。アニメは本来は北欧以外の国の神話がモチーフであり、シリーズ物で映画が作られた中でその回だけに北欧神話の神々(の名を持つ人々)が登場します。
 一流のエンターテイナー達が作り上げた物語がスクリーン上で自分に示されました。まるで「おまえの描いたものは間違い。これが正解だ」と言われたように感じられました。自分の描き上げた漫画が、そこに込めた思いごと否定されたような気分でした。
 自分は映画をどうしても受け入れることができませんでした。神話世界の外から訳知り顔をした主役の子供達が土足で入り込んでくる。北欧神話の神の名を持つ人々は脇役に回り、彼らに斃され、あるいは彼らを助けるため犠牲となって死んでいく。何よりも北欧神話に関係する設定のすべてが気に入らなかった。人物や場所の名前を借りただけじゃないか、こんなの北欧神話じゃない、と思っていました。
 自分は映画を観た後も、自分の漫画を何度も描き直しては途中で放棄するを繰り返していました。しかし就職し、仕事が忙しくなり、自分は漫画を描く時間を失いました。何冊も買い集めた神話の本、図書館の本からの大量のコピーも殆どを処分しました。

 自分は大事なことを理解していなかったのです。
 映画も漫画も、観る人、読む人がお金を出すのを惜しまないほど楽しめる内容でなければ、娯楽産業として成り立たないということを。
 その映画に限って言えば、他の神話をモチーフとした世界に北欧神話が入りこんだに過ぎません。物語の主要モチーフである他の神話自体がすでに日本の少年少女向けに翻案されているのに、その物語世界へ引きずり込まれた北欧神話の設定が原形を留めていられるはずもない。
 まして、北欧神話が現在のようには子供達に知られていない時代でした。すでに人気が確定している既存の物語の枠を壊さない程度に北欧神話を取り入れるのでなければ、映画自体が興行的に失敗しかねない。
 自分はこのことについ最近気付きました。

 主に日本人を対象として作った映画や漫画を、北欧神話に忠実な設定にし、北欧人の思想を前面に出したら、神話が好きな人は喜んで観るけれども、知識のない大半の人にとって楽しめる内容となるのか。
 神話ファンなど特定の人々に向けたのではない、ごく一般の人々を対象とした映画や漫画に、日本以外の民族の神を登場させる時には、その神々を信仰していた民族の文化や思想はある程度犠牲にせざるを得ないのでしょう。
 しかしせめて、作品をきっかけに若い人たちが神話に興味を持ち、本やウェブで詳しい内容を調べようと思うような配慮はあってほしいと思います。
 そうした意味で、ある掲示板に、かの映画をきっかけに北欧神話を知り本を読んでファンになったいう書き込みがあったことから、映画は北欧神話モノとしてもそれなりに成功していたのだと思います。自分の漫画ではこうはいかなかったでしょう。

−Posted by : 名無野権兵衛さん



●最初は様々な神話、伝説とともに

 いつもサガエッダ協会をご覧くださり、まことにありがとうございます。
 今回の投稿企画はいかがでしょうか? 二回目にしてサブカルチャーという少し変わったテーマで募集しましたが、前回投稿してくださった方に加えて、今回初めて投稿された方もいらっしゃり、様々な方に問える内容であったと思います。

 さて、私は前回の投稿で「タクティクスオウガ」について少し触れましたが、今回はその前作に当たる「伝説のオウガバトル」というゲームをご紹介したいと思います。このゲームは神聖ゼテギネア帝国の恐怖政治に反旗を翻す反乱軍を率いるゲームで、各地で反乱軍に同調してくれる仲間が味方として加えて、最終的には神聖ゼテギネア帝国を打ち倒すことを目標とします。

 このゲームは序盤から神話やら民話のネタが随分と登場します。例えば、序盤にいきなり仲間に入るランスロット、彼は言うまでも無くアーサー王伝説からのご登場ですね。アーサー王伝説からはほかにもトリスタンやガウェインなども登場し、聖杯についても随分とアレンジされた形で登場しますので、ぜひ探してみてください。

 そして本題の北欧神話ですが、まずはランスロット達とともに加わる反乱軍に、ヴァルキリーなる職業を持つ女戦士が入ってきます。彼女たちは経験をつみますと、フレイヤになれてしまうというユニークな設定があります。すなわち、フレイヤが反乱軍に何人もいるという、ちょっと奇妙なことが起こってしまいます。 さらには、北欧神話では神々に対峙するフェンリルやスルトが、またもや意外な形で登場します。彼らは、ひょっとすると反乱軍に味方してくれるかもしれません。あの魔獣が反乱軍に加勢…というのもおかしな話ですが、これもゲームをプレイされる機会がありましたらぜひご覧ください。

 そのほかにも、どこから出てきたのか、シルフやらエンジェルやら天界の概念も少し登場し、様々な神話や民話のネタ・キャラクター・アイテムなどを交えながら、物語の確信へと迫っていく様は、ある特定の神話だけから借用した舞台設定に比べて何がなんだか分からなくなりますが、それだけに意外とこの状態を楽しむことができます。もし、あなたが北欧神話以外にも各地の神話、あるいは民話なども調べられているのであれば、検証するにせよ楽しむにせよ、ぜひともお勧めしたい一作であります。もちろん、北欧神話だけという方にも、前述のキャラクター以外にもアイテムなどが登場し、楽しめること間違いないと思います。

−Posted by : ヘルギみのまた




ご投稿、ありがとうございました!



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